2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

神田のうた⑨藤山一郎の「ニコライの鐘」

「ニコライの鐘」 聖橋を御茶ノ水駅に向かって中ほどまで渡ると、右手にうす緑色の円い屋根のニコライ堂が見える。神田の街でニコライ堂のあるここ駿河台は異国情緒を漂わせている一画である。ニコライ堂の名称の由来は、幕末に来日し、五十年にわたって布教…

神田のうた⑧ 正岡容の『英霊布団』 (春日井おかめ・柳家小半治・古今亭志ん生)

◎『英霊布団』 むかしの神田は、今よりももっと遊興気分の濃厚な町だった。 寄席や映画館の密集地でもあった。おもな映画館を挙げると、神保町の「東洋キネマ」、淡路町の「シネマパレス」、表猿楽町の「神田日活館」、表神保町の「南明座」と「新声館」、連…

神田の歌⑦「なんだ神田」の歌 

◎書生節「スカラーソング・(なんだ神田の歌)」 東京の地名を読み込んだ無駄口や洒落言葉は多い。「恐れ入谷の鬼子母神」、「嘘を築地の御門跡」などは、今も落語や芝居の中に生きているし、日常生活の中でも聴くことがある。神田を使った無駄口には「なんだ…

神田のうた④ ◎「神田囃子」

◎「神田囃子」 今年は二年に一度行われる神田祭の本祭りが行われる年である。祭りのクライマックス、約百基の町神輿が参拝する神輿宮入の当日は、神田明神の一帯は善男善女で埋め尽くされる。 お祭りに欠かせないものは祭り囃子だろう。 神田囃子をはじめ江…

神田のうた⑤ ◎「電車唱歌」

神田のうた⑤ ◎「電車唱歌」 かつて東京の町には網の目のように路面電車の線路が張り巡らされていた。昭和三〇年頃の路線は四十一系統におよび、九百三十四台の車両がざっと百七十万人の乗客を運び、東京の交通の中心を担っていた。 「チンチーン、動きまーす…

神田のうた④ ◎唱歌「廣瀬中佐」

◎唱歌「廣瀬中佐」 神田須田町の交叉点近くにあった廣瀬中佐と杉野兵曹長の銅像は、戦前まで西郷隆盛や忠犬ハチ公の銅像のように誰でも知っている有名なものだった。東京名所の絵葉書にとりあげられ、修学旅行の見学場所でもあった。銅像の場所は、ちょうど…

神田のうた②「明治大学校歌」

明治大学校歌は校歌の中で早稲田の校歌と並んで出色とされる。 関係者だけでなくこれほど国民に親しまれている校歌はないだろう。私が最初に覚えた校歌も明大校歌だ。神田で下宿していた親戚の明大生が、本郷弓町の私の家によく遊びに来て、幼稚園生の私に口…

「神田のうた①」『神田小唄』

「神田のうた①」『神田小唄』「神田」にちなんだ歌は数々あるが、『神田小唄』は学生たちをテーマにした最初の歌ではないかと思う。二村定一が歌うジャズソングである。レコードは昭和四年四月、日本ビクターから発売された。この曲がヒットした昭和四年は、…

神田のうた⑳ ◎「モク拾い」の思い出

◎「モク拾い」の思い出 最近神田の街を歩いて気が付くのは、歩きタバコをしている人の姿をほとんど見かけないことである。 千代田区は平成十四年十月一日、路上喫煙や吸殻・空き缶などのポイ捨てを禁止する「生活環境条例」を施行した。私はくわえタバコで古…

神田のうた⑲「本郷弓町駄菓子屋懐古」(3)宝袋

◎駄菓子屋玩具 昭和二十年代の駄菓子屋玩具は、まだビニールやプラスチック製のものはなく、紙や木や竹やブリキやガラスやゴム製がほとんどだった。男子に人気があったのは、ベーゴマ、ビー玉、メンコが御三家。メンコは角メン、丸メン、豆メンコ、人形メン…

神田のうた⑰「本郷弓町の駄菓子屋懐古」(2)セロハンニッキ

◎セロハンニッキ 駄菓子の菓子には、前号でお話した「寒天棒」のほかにも、絶滅したものがある。 「セロハンニッキ」もそうだ。これは、透明なセロハン(セロファン)紙に、赤く着色した甘いニッキ液を浸し、乾燥させた後、コヨリのように縒(よ)って棒状にし…

神田のうた⑰ 「本郷弓町の駄菓子屋懐古」(1)寒天棒

「駄菓子屋の思い出」(1)寒天棒 私が子どもの頃には、どこの町内にも駄菓子屋があった。お客は幼児から小学生くらいまでがお得意さんで、中学に入るとあまり行かなくなる。店番をしているのはたいていお婆さん。四五人も入るといっぱいになる狭い店内に、…

神田のうた⑯ 「本郷大横町縁日懐古」(4)十徳ナイフ

「本郷大横町縁日懐古」(4)十徳ナイフのタンカバイ 縁日では、面白い口上をつけて売る、いわゆる「タンカ売(バイ)」もいろいろ出ていた。大きな声を出して威勢良く売る、瀬戸物屋や反物屋やバナナは、タンカ売の中でも、香具師の符丁で「大ジメ師」と呼ば…

神田のうた⑮「本郷弓町縁日懐古」(3)べっこう飴とウエハース

「本郷弓町縁日懐古」(3)べっこう飴とウエハース 縁日のべっこう飴は、今もある息の長い商品である。私の子どもの頃は綿飴同様、これも作りながら売っていた。 私は、どんな風にして作るのか見るのが好きで、あきもしないで、じっとながめていたものだ。べ…

神田のうた⑭「本郷弓町縁日懐古」(2)

神田のうた⑭ 「縁日懐古」(2) ◎「綿あめ」と「どんどん焼き」 縁日の食べ物で、今も子どもたちに人気があるのは「綿あめ(綿菓子)」だろう。あの、綿雲のようなふわっとした形、そして口に入れた時、すっと溶ける独特の感触。こんな不思議なお菓子は珍し…

神田の歌⑬ 「本郷弓町縁日懐古」(1)

子ども時代の思い出で、なんといっても懐かしいのは、縁日である。 今でも巣鴨地蔵や深川不動など大きな縁日は続いているが、昭和三十年の半ばごろまでは、何々神社や何々地蔵といった所ではたいてい縁日が立っていたものである。 私が生まれた本郷弓町(現…

神田のうた③ 

神田のうた③ ◎外神田のご当地ソングを発見 五年ほど前、世田谷のボロ市で「外神田小唄」という珍しいレコードを見つけた。 このレコードは昭和六年一月に日本オデオンから発売されたSP盤。作詞は美家和喜、作曲は、なんと東京漫才の元祖・東喜代駒師匠であ…

『落語本蒐集四十年』  ②

落語本蒐集四十年② 岡田則夫 ◎懐かしの落語本屋・協立書店の巻(其の一) 浅草東映の左隣りに協立書店という新刊書店がある。昔、その二階に同名の古本屋があった。店主は戸澤郁二さんといい、古本屋になる前は染物関係の仕事をされていたという。戦後間もな…

『落語本蒐集四十年』  ①

◎昔書いた原稿が出てきたので再掲します。ご笑覧のほどを。『落語本蒐集四十年』 ① 落語の本やレコードを収集しはじめたのは、昭和三十八年頃からだ。高校の時、正岡容の本を読んですっかり熱愛者になり、お定まりの古本屋・古書展通いが始まった。私は子ど…

SP講談 二〇世紀之大衆藝能第20回  『昔の映画俳優の歌声』 /平成26年2月7日(金)・高円寺「円盤」 19:00Comments

映画俳優が歌う流行歌をSPレコードで聴きます。歌手で映画にも出た人(例・徳山蓀)は今回省きます。おひまがある方、よろしければお越しください。 (日時)・・・平成26年2月7日(金)(会費)・・・1500円(1ドリンク付)(場所)・・・杉並区高円寺南3…